FrameMakerとInDesign XMLの取り扱い

FrameMakerとInDesignの特長は、よく次のようにまとめられます。

  • FrameMakerは、大量のテキスト、頻繁な改訂、厳密なフォーマットの一貫性、再利用性が求められる技術文書の作成に非常に強力です。
  • InDesignは、デザインの自由度、視覚的な魅力、柔軟なレイアウトが重視される出版物や広告物の作成に最適です。

良くまとまっていると思います。

ではなぜ組織の文書作成の際に、いまだにFrameMakerとInDesignが選択肢として挙がり、比較対象になるのでしょうか。

FrameMakerもInDesignもどちらもXMLを取り扱えるとアプリケーションの説明でしているのが原因のひとつだと思います。

他の機能もそうですが、情報を検索して記事を読んでも、具体的にどこがどのように異なるのか実感できないし、その記事は最新のバージョンにも当てはまるのか?誰か教えて!!と、お思いではないでしょうか。

InDesignでのXML

コンテンツを自動的に配置 あらかじめきちんと設定することによって、レイアウトへの XML データの配置を自動化できます。XML コンテンツを自動的に配置するには、まず、ドキュメントに読み込まれる XML を収めるためのタグ付きのプレースホルダーフレームを作成します。読み込まれるコンテンツの XML 構造とタグ名がプレースホルダーフレームの構造とタグ名に一致する限り、InDesign では読み込まれた XML をドキュメントに自動的に配置できます。住所録やカタログ資料など、繰り返すデータを処理する場合に、InDesign では要素を複製することもできます。自動化レイアウトの方法を構造化されたワークフロープロセスの一部として使用すると、生産性が増します。

InDesignヘルプ「XMLの読み込み」から引用

「あらかじめきちんと設定することによって」と言っているように、InDesignはレイアウトがあらかじめ決まっていて、XMLが用意されている場合(名刺、カタログ、新聞etc.)には威力を発揮します。

「XMLをドキュメントに自動的に配置できます。」いわゆる自動組版ですよね。上記では「自動化レイアウト」と呼んでいます。

それをワークフロープロセスの一部として使用すると、生産性が向上する、と。その通りだと思います。そしてその様なデザイン性を持つ、相応のアーティスティックな作業を伴う“DTP”が、ユーザーの華やかなメインストリームだと思います。

そう、FrameMakerは日陰者なのです。

でなければ、AdobeのFrameMakerへの仕打ちが説明できません。
Creative Cloudにも組み込まれていないし、Adobeのホームページに行っても、そう簡単に姿を現してはくれません(涙)

…ついでに言っちゃいますが、2025/5/21現在、FrameMakerはサブスクリプションでしか購入できません。ここから購入の手続きが行えます。

上記ページを閲覧できた方、衝撃的ではないですか?月々で支払う12ヶ月よりも、年間一括で支払う方が高額という。。。これには驚きました。そしてこれは記載ミスではないのです。(Adobeに問い合わせ済み)

…横道にそれてしまいました。

InDesignでもXMLの扱いは、XML、InDesignテンプレート、それぞれがほぼ完全に出来上がっている状態で説明がなされていることが多いです。

私の認識で言いますと、InDesignはXMLフォーマッターです。

FrameMakerでのXML

スケーラブルで強力なオーサリング機能
単一の強力なオーサリング環境で、複雑な構造化コンテンツと非構造化コンテンツの作成や更新を簡単に行うことができます。直感的なナビゲーション機能とWYSIWYGビュー、テンプレートベースの環境でリッチメディアを挿入するための各種ツールにより、魅力的なドキュメントを効率的に作成することができます。

Adobe DITAWORLD 2025 から引用

一方、FrameMakerはXMLフォーマッターであると同時に強力なXMLエディターです。まさに「直感的なナビゲーション機能とWYSIWYGビュー」を併せ持ったエディターです。

これはことのほか重要で、WYSIWYGビューを持ったXMLエディターをFrameMaker以外にほとんど見ません。そしてエディターですので、簡単に内容を追加し、削除し、変更し、更新することが可能です。

内容の量が変わっても構造が変わっても定義内なら何ら問題は無いのです。

このあたりがInDesignでのXMLと根本的に異なるところではないでしょうか。

 

FrameMakerとInDesign は「目的」が違うソフト

FrameMakerはよくInDesignと比較検討されます。「何が違うのか?」と聞かれます。

ひと言でいうと、「目的が違う」ソフトと言えそうです。

確かに、段落スタイル、文字スタイル、相互参照など基本的な機能面では似ています。相互参照などはその昔InDesignには搭載されていませんでしたが、バージョンを重ねるごとに便利になり、今では基本的な機能の種類に差は無いように見えます。

印刷やデジタルパブリッシング用のプロフェッショナルページレイアウトアプリケーションである Adobe InDesign では、印刷、web およびタブレットアプリ用の幅広いコンテンツをデザイン、プリフライト、パブリッシュできます。また、テキスト編集の正確なコントロール、ビルトインのクリエイティブツール、直感的なデザイン環境が用意されており、Adobe Photoshop、Illustrator、Acrobat および Adobe Animate と密接に連携して使用できます。

InDesign/よくある質問 から引用

うーん、おっしゃるとおりです!!
日本語の扱いに関しては圧倒的にFrameMakerよりInDesignの方が優れています。そもそもFrameMakerは縦書きができませんし。
そして、「直感的なデザイン環境」。これも頷けます。グラフィック関係機能も充実していますし、参照で取り込むAdobe Illustratorファイル(.ai)の大きさを内容で認識します(FrameMakerはアートボードで認識します。こちらの方が問題!!.epsはどちらも内容で認識します)。

Creative Cloudに含まれてもおり、例えばDTP環境を整えるときに選択肢に上りやすいことは間違いありません。

InDesignが素晴らしいソフトであることは疑いようもありません。

個々の機能にも機能差はありその説明は他の資料に譲るとして、これからはXMLとの関係性において言及したいと思います。

PS:
ちなみに、FrameMakerでの参照グラフィック(インセット)には、.aiがおすすめです。.epsでは表示があまりにもぼんやりしていて、FrameMakerのグラフィック機能でキャプションを入れることすらままなりません。
しかし、.aiにするなら内容の大きさでアートボードを切るか、正確にアートボードの中心にイラストを描くしかありません。
対策としては、内容の大きさでアートボードを切るIllustratorスクリプトを作るのが良いと思います。
とはいえ、InDesignでは実現しているのですから、FrameMakerでも改善していただきたいことのひとつです。

さらにPS:
過去のコラムを見てみたら、「FrameMakerとInDesign」というタイトルで書いていますので、もともと「FrameMakerとInDesign」というこのコラムのタイトルを変更しました。

ご無沙汰しております。

前回の記事で、「次回はやっぱりEDDに手を付けるのがよさそうでしょうか。。。」などと宣ってからはや6年が過ぎようとしています。

あまりに時間がたち過ぎてしまいましたが、弊社は元気に活動しています。

変換表とEDDは密接に関係していますが、業務フローの中に変換表を組み入れるためには、スクリプトの存在も忘れてはいけません。

前回の記事でも指摘しましたが、定義通りの完璧な非構造化文書は無いという立場です。

であればその、定義から外れた段落やオブジェクトを拾い上げる必要があり、それをスクリプトが担います。

また定義通りの完璧な文書であったとしても、同じ段落書式が同じエレメントに変換されるかは、状況によります。同じ段落書式が適用されている段落であったとしても、異なる用途を持つ場合があるからです。

その場合、異なるエレメントに変換させるために変換条件を一意にする必要があり、そのためにスクリプトが活躍するはずです。

スクリプトの力を借りないのであれば手動で行う必要があり、その作業はボリュームの大きいものになってしまう可能性が高いので、業務フローの流れの中に組み込むにはハードルが高いのではないかと思います。

ということで、FrameMakerのhelpを読む限りでは変換表を作成することによって、FM非構造化文書が簡単にFM構造化文書に変貌を遂げるように思いますが、実際の業務に耐えうるためには「変換表」「EDD」「テンプレート」「スクリプト」の開発が必須と言えると思います。

とはいえ!!この「変換表」という仕組みがあることでかなりの部分が自動化され、時間と費用、いわゆるコストの削減に寄与していると思います。さすがFrameMaker!

開発依頼は弊社まで!


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